コディネ2013 春季号
『アミノ酸パワーで生活の質を変えよう』
表1にまとめたようなアミノ酸サプリメントは抗加齢、抗動脈硬化、障害を受けた臓器・組織の再生には欠かせない。それは加齢とともに生活習慣病が進展し、臓器障害、組織障害が深刻化した段階では、通常の食事療法ではバランスをとったつもりが、結局はひずみがおき、一方は解決できても、もう一方は解決できず、病態の悪化を招来させてしまうという問題を内在しているからであり、その解決には栄養サプリメント、それもアミノ酸サプリメントが欠かせないということになるからである。
表1 アミノ酸栄養サプリメントの特徴
今日、話題にするアミノ酸こそが地球上に生命が誕生した時の要であり、生命の源とも言える。
そもそも、地球は、46億年前という途方も無い時間の彼方で太陽系のほかの惑星と一緒に誕生しましたといわれているが、その10億年後、すなわち、36億年前に、地球上に微生物が誕生したと言われている。この途方も無い時の流れを宇宙ができてから現在までを一年として計算すると、1月1日にビッグバンがあり、その年の10月に太陽系がでることになる。そして、生命は、10月29日頃に誕生し、哺乳類は12月29日に登場し、人間は12月31日の午後9時48分の紅白歌合戦のクライマックスで登場することになる。人類の足跡が判別出来てからまだ10秒くらいしかたっていないのである(表2)。
では、どうやって、アミノ酸が出来たのか?
アメリカの化学者S・L・ミラーは、1953年に、水蒸気、アンモニア、メタン、水素など、原始の大気を想定したものをフラスコに入れ、雷などのエネルギーの代わりとして六万ボルトの高電圧を2週間放電し続け、グリシンやアスパラギン酸などの簡単な構造のアミノ酸を作っている。日本でも横浜国立大学で、1996年、一酸化炭素や窒素、水蒸気などが含まれた原始大気に宇宙線が降り注いでいる状況を再現し、アミノ酸と核酸の一部であるウラシルができることを確認した。
原始大気のなかでアミノ酸と核酸ができて、生命が生まれる条件が整うと、アミノ酸と核酸は雨とともに海に降り注ぎ、海中に溶け込み、微生物が生まれ、さらにサンヨウチュウなどの大きな生物が生まれたのではないかと考えられている。実際、5億年前のサンヨウチュウの化石からは、アラニンが検出されている。落下した阻石から、グリシン、アラニン、グルタミン酸といったアミノ酸を発見している研究者もいる。
アミノ酸は炭素、水素、窒素、酸素という原子で構成されているが、これこそが生命の源であり、これを識ることにより、加齢という生命の誕生と完全に反対の方向に立ち向かう現在を生きる我々に智慧と勇気が授かるものと信じており、なかでも今回はアミノ酸という言葉としては既にありふれた物質に潜む我々の誤解が加齢はあっても健康でいたい、しかも活動的で、美しくありたいという願望の実現を妨げとなっていることを伝え、あわせて対策についても提案してゆきたいと考えている。
アミノ酸(Amino acid)は、生化学的にはアミノ基とカルボキシル基の両方を持つ有機化合物の総称(図1)
図1 アミノ酸の構造~アミノ酸は炭素、水素、酸素、窒素から出来ている
一般的α-アミノ酸とはカルボキシル基が結合している炭素(α炭素)にアミノ基も結合しているアミノ酸であり、RCH(NH2)COOH という構造を持つ。 Rが水素 (H) であるグリシン以外のアミノ酸では、α炭素へのアミノ基やカルボキシル基などの結合様式が立体的に2通り可能で、それぞれ、D型、L型の光学異性体として区別される。生体のたんぱく質はα-アミノ酸のポリマーであるが、基本的にL型のものだけが構成成分となっている。D型は天然では細菌の細胞壁の構成成分や老化組織、ある種の神経細胞などに存在が見出されている。 分子中にイミノ基(>C=NH)とカルボキシル基(-C(=O)-OH)を両方含むイミノ酸(Imino acid)も便宜上アミノ酸に含めることが多い。プロリンはイミノ酸に分類される。含硫アミノ酸であるシステインはイミノ酸ではない。
自然界に存在が確認されているアミノ酸は500種類
自然界には、現在までに500種類ほどのアミノ酸の存在が確認されており、このうち人においてはたんぱく質の材料として必要なアミノ酸は20種類(表1)と言われている。つまり、20 種類のアミノ酸が数個から数万個、複雑に組み合わさることでたんぱく質が作られている。
表3 たんぱく質の生成のために必要なアミノ酸(20種類)
これらのアミノ酸はたんぱく質の構成成分であると同時に、それぞれが生理的な役割(表2~3)を持ち、生命維持、身体活動、人としての尊厳の発露に寄与している。
表4 必須アミノ酸の主な効果(たんぱく質構成成分以外)と含有食材
表5 非必須アミノ酸の主な効果(たんぱく質構成成分以外)と含有食材
必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分類することの意味と問題点
体内で合成できないアミノ酸を、必須アミノ酸と呼び、合成できるアミノ酸を非必須アミノ酸と定義されている。これが、食事療法、特に腎臓の悪い人の食事療法にとんでもない誤りをもたらしている。非必須アミノ酸は食事においては含まれなくても構わないアミノ酸として位置づけられているのである。
表6にまとめたように、人や一部の動物以外は非必須アミノ酸が非必須ではない。これが後に大変な誤解を生む原因となっており、その反省に立って、条件付き必須アミノ酸という言葉も作られ、アルギニンはこれに該当する。いずれにしても非常に重要なので、摂取できない状況、言わば飢餓の状態にあっても困らない様に作られた結果に過ぎないと考えたほうがよさそうである。
表6 生物の種別の必須アミノ酸
思い知れ!!アルギニンのパワー
アルギニンは、図2に示すように肝と腎で合成できる。肝で作られたアルギニンは人にとって、毒性の高いアンモニアの処理のために必要であるにもかかわらず、非必須の扱いを受けさせているのは ヒトと成熟ラツトだけと言っても良いかもしれない。
図2 アルギンの肝、腎合成
肝、腎でのアルギニン合成と腸管から吸収されたチトルリンの代謝の流れ、それは一酸化窒素合成とアンモニア処理を目的としているようにも見える。
肝で作られたアルギニンは全て肝で消費され、体内臓器、体内組織でアルギニンを必要とする部位に供給されるアルギニンで、体内合成分は全て腎由来である。それ故、慢性腎臓病(CKD)を患い、腎機能障害が出現すると、本質的にアルギニン欠乏状態に陥る。低蛋白食事療法が加わると、更に状況を悪化させることになる。
いずれにしても、一部、繰り返しになるが、「必須」とは,あくまでも「食物から摂取することが必須」という意味であって、非必須アミノ酸もタンパク質合成の素材として必須であることはいうまでもないし,食餌由来で吸収された非必須アミノ酸も,そのままアミノ酸として利用されていることも多い。にもかかわらず、この言葉の意味は摂取する必要があるもの、必要があにものという理解に変わっている。少なくとも、一般の人々の理解はそのようである。その裏付けとしては、非必須アミノ酸の食事からの摂取については栄養学上あまり注目されてこなかったという事実がある。
非必須アミノ酸の生体内で果たすさまざまな生理機能が解明され,特に病体時や体調変調時における非必須アミノ酸摂取の重要性が認識されつつあるが、必ずしも一般には普及していないのが現状であり、食事療法の実施にあたってはおおいに留意すべき事実である。
不当に無視されることが多いアルギニンとグルタミン
生体内で重要な役割を演じていながら、非必須という名称が与えられているが故に様々、特に腎臓病という病態において顧みられていないのがアルギニン、グルタミンである。非必須にもノミネートされていないために、忘れられがちなアミノ酸にオルニチン、シトルリンがある。
1) 本当は頼りになるアルギニンパワー
アルギニンには、内分泌系に対する作用、循環器系の生理機能調節作用、アンモニア低下作用がある。
これらの作用にうち、内分泌系については、成長ホルモンの分泌を促進することで知られている。この作用は、成長ホルモンの分泌能力を確認する方法として臨床で広く利用されており、その有用性は明らかである。成長ホルモンが蛋白質合成、細胞再生などに不可欠であることは自明の理とも言え、小児期はもとより、高齢期においても不可欠であることは言うまでも無い。成長ホルモン、更にはIGF-Ⅰ、epidermal growth factor (EGF)が腎尿細管上皮細胞の再生、増殖を促進することが知られている。事実、筆者は透析療法への導入が近い状態の患者の腎機能を遺伝子組み換えヒト成長ホルモンを皮下注射することによって、腎機能を改善させ、透析療法への導入を回避させた臨床経験を持っている。
図3 成長ホルモンの驚異的な効果; 腎機能改善効果
図4 成長ホルモンの驚異的な効果; 低アルブミン血症改善効果(症例A)
佐中孜,杉野信博;慢性腎不全患者の栄養障害に対する遺伝子組み替え
成長ホルモンの治療効果.日本腎臓学会誌,33(11);1991.
無論、成長ホルモンの生理作用には普遍性があっても、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用が全てのヒトに共通して見られることではない。特に、アルギニンを服用した場合には、脳の視床下部にある神経分泌神経末端から下垂体中に放出される成長ホルモン放出因子 (growth hormone releasing factor,GHRF)あるいは(growth hormone releasing hormone,GHRH)が存在することが前提条件になる可能性も否定できないので、特に高齢者では経口アルギニンの効果には個体差がある可能性が否定できない。そのことを示すのが次の図5の成績である。
図5 アルギニンによる成長ホルモン分泌促進効果;注射用アルギニン、経口用アルギニンの用量依存的効果と成長ホルモン放出因子 の意味
この研究成績はGHRHにより血中に成長ホルモンが増加するが、その程度はアルギニンの存在の下にあるという条件に比べれば、僅かであると言うことを示し、更にアルギニン量に依存して成長ホルモン分泌量が異なるということも明らかにしている。図のDのアルギニンは経口服用されたもので、服用後30~60分で成長ホルモンが血中に分泌亢進が起きており、その量はGHRHによっておきるそれを遙かに凌駕している。
循環器系に関しては、アルギニンが一酸化窒素をつくりだすことがわかっている。一酸化窒素は体循環や腎循環の調整、血圧調節など、重要な役割を担っています。アルギニンの静脈注射を行うと血管の拡張によって血圧が低下することが確認されており、これは血流改善効果、更には内皮細胞機能の改善に繋がると考えて良い。すなわち、人為的に高脂血症にしたウサギの実験からは、アルギニンが一酸化窒素産生を亢進させ、動脈硬化病変の形成を抑制する推察されるので、アルギニンの腎硬化症の発症進展抑制あるいは治療効果までも期待される。
これらのアルギニンの効果をまとめたのが、図7である。表2~5に列挙した他のアミノ酸と比較してもその作用の特異性が分かる。CKD患者では不適切な低蛋白食ならびに腎での合成能障害によってアルギニン欠乏が惹起されているだけでなく、透析患者になると、透析療法によって失われているのである。摂取蛋白質食品の質を選ぶことの重要性を強調する必要があると考えている。
図6 アルギニンの効果
2) 決して侮れないのがグルタミンパワー
グルタミンは、非必須アミノ酸に分類されているが、消化器粘膜の上皮をつくる糖タンパク質の生成を促すことによる消化管粘膜サポート、免疫担当細胞サポート、更には、たんぱく質合成促進、コラーゲン合成促進などの働きがあることで知られている必須というべきアミノ酸である。しかも、肉や魚、たまご、小麦粉や大豆、海藻類など、身近な食品に多く含まれているが、加熱により変性するため、食事からの摂取に頼ると、サラダや刺身など生食の習慣がなければ、意外にも不足の原因になる。それでも非必須アミノ酸として分類されのは、体内ではグルタミンシンテターゼという合成酵素の助けのもとで、グルタミン酸とアンモニアから生成されるためで、通常は、人間の骨格筋に貯蔵される遊離アミノ酸の約6割を占め、体内で最も多い。ところが、CKD患者では蛋白制限があるので、基本的なところで、摂取不足となり、透析患者では蓄積傾向のあるアンモニアを材料としての生成量の増加があったとして、透析療法によって、日々、除去されることは想像に難くない。筋萎縮のためにアミノ酸プールが縮小している場合はグルタミン蓄積能力が縮小させられるので、その欠乏に拍車がかかることになる。
グルタミンの消化管粘膜サポートは、胃炎、胃・十二指腸潰瘍の治療薬の主成分として用いられているほどであり、広く認められている効果と言える。
グルタミンは、グルタミン酸とともに糖新生に関与するアミノ酸の一つで、糖原性アミノ酸と呼ばれており、ミトコンドリア内で、AST(GOT)により、2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)になり、TCA回路(クエン酸回路)に入ることによって、ATP(エネルギー)産生に直接的に関与する。このATPをあてにしているのが消化管(粘膜上皮)、腎臓、肝臓、白血球、繊維芽細胞などであるので、この不足は、地産地消という本来あるべき姿から逸脱しており、結果として、感染症に対する抵抗力や腎尿細管上皮細胞の再生能力の減退につながること予想されるので、CKD患者では避けるべき病態ということになる。
なお、糖原性アミノ酸にはAsn、Ala、Gly、Glu、Ser、Pro、Asp、Arg、Gln、Cys、Tyrなどの非必須アミノ酸、Val、 Ile、 Phe、Trp、His、Met、Thrなどの必須アミノ酸がある。これらのアミノ酸はインスリンの分泌を刺激せずにグルコースに変換されるため、白血球や腸上皮細胞(微小絨毛)などの短時間で分裂する必要のある細胞では重要なエネルギー源となるために、生体においてしばしば認められる合目的的な機構の一つともいえる。その意味では腎臓にもそのような機能が備わっていると言うことは、尿細管上皮細胞は素早し細胞再生が必要な部位の一つとも推察されるので、不適切な低蛋白食が腎障害からの更なる回復を傷害している可能性も否定できない。今後とも更なる研究が求められることは言うまでもない。
いずれにしても、グルタミンには、腸の働き(消化器機能)をサポートしたり、筋肉を強化し筋肉疲労を回復したりする効果がある。グルタミンは強いストレスや風邪の影響を受けると消耗するので、これを制限することは消耗に追い打ちをかけることになる。
だからといって、過剰はよくない。1日40g以上のグルタミンは肝臓障害を起こすと言われている。通常は、これほども摂取ることはサプリメントで摂ったとしてもあり得ないが、一応、注意は喚起しておく。
アミノ酸全体に共通するが、重篤な肝障害やアレルギー体質、精神疾患やひきつけがある場合はサプリメントとしても使用しないほうがよい。
その他、グルタミンとグルタミン酸の違い
グルタミンは、体内でグルタミン酸とアンモニアに酵素が働くことによって合成される。グルタミンが腸の働きをサポートする一方、グルタミン酸は脳機能を低下させる恐れのあるアンモニアを解毒し、体外に排出すことで、知られている。
図7 グルタミンの効果
生体におけるアルギニンの無尽蔵産生系
図2に示すように、肝のオルニチンサイクル、血管内皮細胞の一酸化窒素サイクルはアルギニンを無尽蔵に産生するための装置といえる。それだけ、生体はアルギニンを重要なアミノ酸と捉えているのだろう。それだけ、アルギニンを欠乏させるような状況に追い込むことは生命予後に重大な影響を及ぼすものと推察させられる。
1)オルニチンサイクル
オルニチンは蛋白質を構成しない遊離アミノ酸として知られ、図2に示すように文字通り尿素サイクルとも言われるオルニチンサイクルのキーストンの役割を演じている。このオルニチンサイクルは生体にとって毒性の強いアンモニアを比較的無毒な尿素に変換するための処理機構でもある。
ここで、アンモニアの毒性について言及しておく。CKDの進行速度と深く関連しているのが尿細管間質障害であり、尿細管間質障害の原因として注目度が高いのが蛋白尿である。このような蛋白尿中に含まれる様々な血漿蛋白が尿細管障害を引き起こすと考えられるが、補体もその有力な候補の一つであり、腎局所におけるアンモニアは補体活性化の刺激となることで知られている。アンモニア産性を抑制することはCKDの進行抑制につながるものと期待されている。
すなわち、腎不全患者ではアシドーシスを是正するため重層投与を行うことにより、尿中蛋白排泄量は変化させずに尿中補体活性化産物の排泄量を軽減させることが明らかになっているが、同時にオルニチンを負荷することにより、アンモニアの体内蓄積を抑制することが補体の活性化を抑制し、ひいてはCKDの進行抑制に寄与すると推察されている。
ちなみに、アンモニアは、肝不全においては肝性昏睡の原因物質として知られており、その意味でもアンモニアが生体にとっては毒性が強い生体代謝産物であることが分かる。
オルニチンは、有害なアンモニアを尿素に換えて排出するといった解毒作用の機能を促進させるだけでなく、アルギニンの機能と同じように、成長ホルモンの分泌を促進させて筋肉を増強するといったことや、基礎代謝を高めることにも貢献している。
2)シトルリンサイクル
スイカやメロンなどの食べ物の中に含まれている成分であり、もともとそこから発見されたシトルリンは、生体では図2に示すように、アルギニンが血管内皮細胞で一酸化窒素合成酵素を使って一酸化窒素を作る過程で作られる。一方で、シトルリンはアルギニンの材料にもなるため、結果的には一酸化窒素の供給源にもなりつつ、再生生産されるという代謝サイクルを形成している。それほど、生体には重要だと捉えるべきと考える。
アルギニンが産生にこだわる一酸化窒素の役割
1998年のノーベル生理学・医学賞は一酸化窒素(Nitric Oxide; NO)のシグナル機能の発見によりフェリド・ムラド、ロバート・ファーチゴットとルイ・イグナロに授与された。
NOには、表5のような作用があり、これらはいずれも、抗動脈硬化作用に通じると考えられる。実際に、糖尿病(2型)、肥満、本態性高血圧になると、血管内皮細胞の機能が障害されて、NO産生・放出が低下し、動脈硬化が進むと述べる研究者もいる。また、温罨法の効用を提唱する者は温浴は 15分間程度であってもNO産生を増加させ、毛細血管を新生させると報告している。
表7 一酸化窒素(Nitric Oxide; NO)の役割
1 プロスタサイクリン(PGI2)合成酵素を活性化し、PGI2の産生を高める。
PGI2は、血管内皮細胞に直接働いて、細胞内cAMP濃度を上昇させ、NO産生を高めるので、NOとPGI2は相乗的な関係(ポジティブフィードバック)があるる。
2 血管平滑筋を弛緩させる(グアニレートシクラーゼの活性化を介して、cGMPの上昇すると、細胞内から細胞外にCa2+が流出し、血管平滑筋の弛緩が惹起される)。
3 血小板凝集を抑制する。
4 好中球などによる、スーパーオキシド産生を抑制する。
5 細胞接着因子(VCAM-1、セレクチン)の発現を抑制する。
6 サイトカイン(IL-6、IL-8など)の分泌を抑制する。
7 LTB4、PAFなどの炎症修飾因子の合成を抑制する。
8 LDLの酸化を抑制する
9 酸化LDLやりゾホスファチジルコリン(LPC)が、マクロファージを血管内皮細胞に接着させる作用を抑制する。
エネルギー代謝に欠かせないアミノ酸(化合物)
必須アミノ酸であるリジン、メチオニンの結合物で、蛋白質摂取を制限したり、腎機能が低下すると、欠乏しやすいアミノ酸(化合物)にカルニチン、アセチルカルニチンがある。L体のカルニチン(エルるカルニチン)は脂肪酸代謝によるATP産生には不可欠であり、アセチルカルニチンは能代謝には欠かせない。これらについてはいずれ稿をあらためて述べたいとかんがえているが、アセチルカルニチンについてもう少し述べておくと、このものは脳におけるエネルギーやリン脂質代謝の改善,神経細胞のアポトーシスの抑制作用,老化に伴う学習機能の低下を改善する作用、大脳皮質での蛋白キナーゼC活性増強と空間識記憶の抗健忘効果、アセチルコリン代謝に関連している可能性があると言われておい、認知症が増加している今日、我々には必要な栄養素の一つであると期待している。
おわりに
冒頭に掲げたアミノ酸栄養サプリメント(表1)の特徴をうまく活用し、それぞれの病態に合わせて活用することが抗加齢、ヘルシーエイジング、アクティブエイジング、ビュ-ティ-エイジングに結びつくと考えている。
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