生活習慣病CKD透析回避プラザ|生活習慣病、慢性腎臓病(CKD)、慢性腎不全、人工透析、血液浄化療法等について情報を発信しています。生活習慣病を改善し、腎臓病を減らし、透析を回避することを目指しています。様々に手を尽くしても透析療法を始めた方には健康で長生き、自立し、自分で歩けるが目標です。

慢性腎臓病の診断と治療とサナカスペシャル

 日本人の10人に1人は慢性腎臓病の発症につながるリスクを持っています。65歳以上の方は殆ど全員がそれに該当すると言っても過言ではないかもしれません。慢性腎臓病のリスクを持っていると、何かの理由で薬剤の服用などを必要としたり、何らかの生活習慣病にかかったりすると、それは慢性腎臓病そのものの発症につながる可能性が非常に高いということです。

 現在、日本では約31万人の方が腎代替療法としての透析療法を受けています。しかし、そのかなりの部分、どれくらいかは分かりませんが、私の印象では半数以上が適切な対処法を施していれば、透析療法を受けずにすんだ方々だと推察します。その対処法のノウハウをまとめたのが『佐中 孜 著;CKD早期発見治療ベストガイド(医学書院2013)<『裏表紙』にて紹介>』です。更にそれらを具体的にお伝えすることを目的としているのがこの小冊子です。

 

《慢性腎臓病の診断》

 私達の慢性腎臓病の診断は日本腎臓学会ガイドライン、アメリカ腎臓学会ガイドライン、国際腎臓学会ガイドラインに準拠しています。

まずは慢性腎臓病とはどのような状態のことを指すかということが気になりませんか?慢性腎臓病かどうかは次の慢性腎臓病の診断基準にあっているかどうかで決まります。

慢性腎臓病の診断基準にあてはまるかどうかは、腎機能(糸球体濾過値; glomerular filtration rate; GFR、estimated GFR; eGFR、イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス)尿検査、血液検査(免疫異常、高血糖、高脂血症、高尿酸血症、肝機能異常など)、画像検査(超音波検査、MRI、CTなど)、病理検査(腎生検)など、沢山の検査を受けて頂いて初めて分かります。しかし、これらの検査を全て受けて頂かないといけないというと、そうではありません。個々の患者さんによって異なります。

是非、ご相談ください。

腎機能については、コディネ夏季号2012に詳細を述べていますので、ご参照ください。

慢性腎臓病の診断基準

下記の1、2のどちらかの場合が慢性腎臓病となります。3番目の家族歴や生活習慣は慢性腎臓病のなかでも悪化方向に進行するリスクを背負っていることを示唆しています。

  1. 腎機能(糸球体濾過値、GFR、eGFR、イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス)が3か月間以上、継続して60 ml/分/1.73m2未満に低下している。

あるいは

  1. 腎機能(糸球体濾過値、GFR、eGFR、イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス)が60 ml/分/1.73m2以上でも、尿検査に異常(蛋白尿、血尿、尿沈渣異常など)、血液検査(免疫異常、高血糖、高脂血症、高尿酸血症、肝機能異常など)、画像診断(超音波検査、MRI、CTなど)、病理学的診断(腎生検)のいずれかが3か月間以上にわたって持続する。

更にサナカスペシャルでは

  1. 家族歴におけるリスク(慢性腎臓病、高血圧、糖尿病、高脂血症、遺伝的腎臓病;多発嚢胞腎、アルポート症候群など)、生活習慣リスク(喫煙習慣)を有する。

 

慢性腎臓病の原因

慢性腎臓病には糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、嚢胞腎など、更なる原因があります。原因となる腎臓病や合併症の検索は治療のためには欠かせません。

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腎機能(糸球体濾過値、GFR、eGFR、イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス)、尿検査、血液検査(免疫異常、高血糖、高脂血症、高尿酸血症、肝機能異常など)、画像検査(超音波検査、MRI、CTなど)、病理検査(腎生検)の結果をどう読むかは、透析療法の回避、一病息災の実現のために、文字通り医師の腕の見せ所です。

皆さんもそれを判断する力をどうぞお持ちください。医は匙加減といいますが、まさにその第一歩が慢性腎臓病の患者さんの病態評価です。

 

進行性と非進行性の区別

 慢性腎臓病と言われたら、まず、進行性慢性腎臓病(進行性慢性腎不全)と非進行性慢性腎臓病とを区別してください。治療の分かれ道です。治療の分かれ道はその後の経過の分かれ道です。その後の経過の分かれ道とは、①透析療法という腎代替療法が必要になる道か、②それらが必要になってもゆっくり進める道か、③あるいは全く必要のない道に進めるかという意味です。

 

《慢性腎臓病の検査と治療》

 今のあなたは何処に該当しそうですか?まだわからないかもしれませんね。わからなくても早く治療を受けたいと思っているのでなないですか?

 そのためにはせめても、まずは、表1のCKD病期分類のどこに該当するかを知ることが必要です。

 

表1 CKD病期分類

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慢性腎臓病は上記のような万国共通の病期に分けて考えることが出来ます。慢性腎臓病はいわば5種類に分類できるとも言えます。あなたの状態が今、どこにあるかを知ることは治療を決定するうえで、欠かせません。

次に、検査結果に基づいて治療法が提案されます。検査と治療は日本腎臓学会ガイドライン、アメリカ腎臓学会ガイドライン、国際腎臓学会ガイドラインに準拠していますが、その詳細は院長佐中 孜の著書、特にCKD早期発見治療ベストガイド(医学書院2013)<『裏表紙』にて紹介>でご確認下さい。

検査結果の解析と診察所見の見立てに基づいて治療方針を提案致します。この治療方針を提案は、私達の場合、筆者の40年に及ぶ腎臓病診療の経験を加味された治療計画に基づいた患者さん個々に応じた個別治療となります。

個別診療は自費診療と保険診療から構成されています。但し、自費診療と保険診療の混在させることは致しません。それぞれ独立した診療となります。

①尿蛋白(微量アルブミン)

腎臓が病気になると尿中に蛋白質が漏れてきてます。特に微量でも尿蛋白(微量アルブミン)が検出された初期の段階から治療を開始すると、CKロの進行抑制が可能となります。

②尿量蓄尿)

尿量を知るために、1~3ヶ月に1度は1日の尿を溜める(蓄尿)習慣をつけましょう。目盛り付きの大きなビニール袋(蓄尿パック)を利用すると便利です。尿量から腎機能を推定したり、適切な水分摂取量を決めたりします。

また蓄尿の一部(10ml位)で、前日の摂取たんぱく質量、食塩量、リン量、カリウム量なども算出できます。

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③体重(朝夕2)

体重の変化から、浮腫の有無や栄養状態を推測することができます。朝と夕方で2~3㎏違ったり、急激に増減があったときには注意しなければなりません。まめに体重を測るように心がけましょう。

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④血圧

血圧をコントロールすることは慢性腎臓病の進行抑制に欠かせません。腎不全になると血圧が上がっていきますが、そのまま放っておくと腎機能はさらに悪化します。

血圧計を家庭に備え付けて、血圧コントロールに気をつけましょう。

⑤定期的な血液検査

血液を少量採血するだけで、種々の情報が得られ、腎機能はもちろんのこと全身症状や栄養状態のチエックができます。

また合併症の早期発見にもつながるので、定期的に検査を受けるようにしましょう。

検査結果が何を意昧するのか、今後どんなことに注意したらいいのか、主な検査項目については知っておきましょう。

①クレアチニン(SCrまたはCr)  

腎機能が70%以下になると上昇してきます。この値は腎臓の働きや筋肉量を見る目安とされています。

CKDの重症度判定に使用するeGFRは血清クレアチニン値と年齢・性別により推定できます。GFRの経過を数ヶ月間観察すると腎機能の悪化速度が推測できるので、治療の効果判定や透析導入時期の予測の指標になります。

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②尿素窒素(SUNまたはBUN)

老廃物のひとつで、特にこの値は食事の内容と密接に関係しています。腎機能が低下した状態で、たんぱく質の摂り過ぎやエネルギー不足の時に高くなります。

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③尿酸(UA)

老廃物のひとつで、この値が上がるとよく関節が痛くなります。この炎症症状は痛風発作と呼ばれています。腎機能障害がさらに増悪する可能性が高くなります。

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④カリウム(K)

腎不全になるとカリウムを排泄する力も低下しているので、どんどん血液中にたまってきます。

カリウムが高くなると心臓に直接ダメージを与え、突然死を招くこともあります。食事で調節するように注意しましょう。

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⑤リン(P)基準値

腎障害があると、血液中のリンが増えてきます。血液中のリンが高くなると骨がもろくなったり、腎機能や動脈硬化の悪化を進行させたりします。たんぱく質の摂り過ぎに気をつけ、薬が処方された場合はきちんと服用しましょう。

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⑥重炭酸(HCO3)

体液が酸性になると.細胞が壊れやすくなったり、働かなくなったりします。このような酸は腎不全になると、体の中に溜まってきます。重曹を補い中和するようにしましょう。

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⑦血清総蛋白(TP)

血清中に含まれるアルブミンやクロブリンなどの蛋白質の総量を表すもので、栄養状態を示す指標となっています。

ネフローゼ症候群などでは低値を示します。脱水などの場合には高値となる場合があり、腎臓の働きと密接な関係があります。

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⑧ペントシジン

 老化の原因物質としてよく知られているのは活性酸素、フリーラジカル、過酸化脂質、AGEsです。ところがこれらはいずれも保険診療では測定することは出来ません。唯一、AGEsに一つである。ペントシジンだけは測定できます。但し、3ヶ月に1回とか、糖尿病は測定できないという縛りがあります。それでも、測れるということは大切にしたいと思います。何故なら、ペントシジンは動脈硬化、皮膚老化、骨脆脆化の原因物質の一つであることが分かってきたからです。この数値を目標にして低下させるように日頃から注意しましょう。

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⑨ヘモグロビン(Hb)

血液の赤い色は赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心となっています.貧血になるとこれが低下してきます。

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⑩ヘモグロビンA1C(HbA1c)

糖尿病の場合、血糖のコントロールが大切です。ヘモグロビンA1Cは直前の食事に影響されず、過去1ヶ月間の血糖値の平均を表すので、血糖コントロールの長期的な経過を見るのに重要な指標になります。

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1 初めの1~3ヶ月

 1) CKD検査(採血、蓄尿検査、一般尿検査)

 ①CKDの悪化速度、原因、悪化要因、合併症

治療方針の決定、すなわち提案に当たっては、CKDの悪化速度はどの程度か、CKDの原因はどう考えるか、悪化要因や合併症はないかなどについて調べます。

CKD検査(イヌリンクリアランス)

腎機能障害を糸球体、尿細管にわけて考えるとどのようはことがいえるかなどがわかります。腎機能検査であるeGFRとクレアチニンクリアランスが異なる場合はどちらが腎機能指標として有用かの判定には欠かせません。

③酸化ストレス、尿検査(蛋白尿、血尿、尿沈渣異常など)、血液検査(免疫異常、高血糖、高脂血症、高尿酸血症、肝機能異常など)、画像診断(超音波検査、MRI、CTなどがあります。

2) 治療

(1)進行性に悪化(腎機能、eGFR、(抗酸化、解毒、抗動脈硬化など)が月あたり5ml/分以上の低下)している場合

腎機能が進行性に悪化している場合はそれを停止させるために、きめ細かい対策が必要です。慢性腎臓病と言われたら、まず、進行性慢性腎臓病(進行性慢性腎不全)と非進行性慢性腎臓病とを区別してください。治療の分かれ道です。治療の分かれ道はその後の経過の分かれ道です。その後の経過の分かれ道とは透析療法という腎代替療法が必要になる道か、それらが必要になってもゆっくり進める道か、あるいは全く必要にない道に進めるかという意味です。

進行を止めるために、最大限のきめ細かい対策が必要です。そこで、保険診療が適用されない治療手段を一部に含むサナカスペシャルと呼ばれる腎臓庇護を含めた食事療法や尿毒症毒素吸着療法、高血圧治療、脂質異常治療、糖代謝異常治療、肥満治療、動脈硬化治療、生活習慣の是正などの多重標的集学的治療が必要になりますので、詳細をご相談下さい。

表2 進行性に悪化(腎機能、eGFR、(抗酸化、解毒、抗動脈硬化など)が月あたり5ml/分以上の低下)している場合の治療と対策

治療と対策

腎臓庇護 サナカスペシャル(レベル1以上)
食事療法 エネルギー、蛋白質、脂肪、食塩、リン・カルシウム、微量栄養素などの摂取量の適正化
多重標的集学的治療 原疾患治療、尿毒症毒素吸着療法、高血圧治療、脂質異常治療、糖代謝異常治療、肥満治療、動脈硬化治療、生活習慣の是正

 

(2)腎機能の悪化は進行性ではない(腎機能、eGFR、が月あたり5ml/分未満にとどまる)場合

腎機能、eGFR、の低下が月あたり5ml/分未満にとどまる場合の治療は病期別になります(表3)。

 

病期1;

腎臓庇護としてのサナカスペシャル(レベル1以上)を受けることも勧められますが、原疾患治療とともに、多重標的集学的治療をきちんと受け、食事療法も生活習慣の是正とともに励行すれば、悪化することなく寛解に持ち込むことが出来るはずです。

病期2;

原疾患治療とともに、多重標的集学的治療をきちんと受け、食事療法も生活習慣の是正とともに励行すれば、悪化することなく寛解、少なくとも現状維持に持ち込むことが出来るはずです。

同時に、腎臓庇護としてのサナカスペシャル(レベル2以上)を受けることも勧めます。

病期3a;

原疾患治療とともに、多重標的集学的治療をきちんと受け、食事療法も生活習慣の是正とともに励行すれば、悪化することなく寛解あるいは、現状維持、少なくとも進行の遷延化に持ち込むことが出来るはずです。

同時に、腎臓庇護としてのサナカスペシャル(レベル3a以上)を受けることも勧めます。

病期3b;

原疾患の治療は困難となりますが、多重標的集学的治療をきちんと受け、食事療法も生活習慣の是正とともに励行すれば、現状維持、少なくとも進行の遷延化に持ち込むことが出来ます。

同時に、腎臓庇護としてのサナカスペシャル(レベル3b以上)を受けることも勧めます。

糖尿病のかたが糖尿病コントロールに努めることは糖尿病性腎症そのものの治療にはつながらないとしても、CKDの進行抑制のためには大変重要です。

病期4;

原疾患の治療は、ほとんど無意味となりますので、多重標的集学的治療をきちんと受け、食事療法も生活習慣の是正することがとても重要になります。糖尿病のかたは、糖尿病コントロールに努めることでCKDの進行抑制につながります。こうすることにより、腎機能は悪いながらも、それ以上悪くなることを押しとどめることが出来ます。

同時に、腎臓庇護としてのサナカスペシャル(レベル4以上)を受けることも勧めます。

病期5;

原疾患の治療は、ほとんど無意味となりますので、多重標的集学的治療をきちんと受け、食事療法も生活習慣の是正すること、糖尿病の方は血糖コントロールに努めることはとても重要になります。これらのことが腎代替療法開始後の生命や生活の質の向上、改善には欠かせません。時には、腎機能は悪いながらも、腎代替療法開始までに期間を延ばすことが出来ます。従って、同時に、腎臓庇護としてのサナカスペシャル(レベル5)を受けることも勧めます。

 

表3 病期別の治療と対策

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サナカスペシャル

慢性腎臓病(進行性慢性腎不全)を効能効果とした薬は経口吸着炭(クレメジンR、キューカルR、球形吸着炭R)しかありません。しかし、効能効果が腎臓病治療薬として認められていなくても、薬理作用は腎臓庇護が期待できる薬剤は沢山あります。その代表はアンジオテンシン抑制薬です。そころが、これら以外にも既知薬、サプリメントのうち、少なくとも10年以上にわたって、安全性、薬理作用の面かしっかりした科学的な評価を受け、それぞれの立場で実際に使用されているものに、腎臓庇護という期待通りの効果に遭遇し、患者さんと喜びを分かちあうという機会が多くありまた。

食事療法、生活習慣についても患者さん個人々々に合わせた指導が不可欠です。しかも、これらが不適切であったことが慢性腎臓病の原因ではなく、これらが不適切であることは慢性腎臓病の悪化要因となるのです。従って、それぞれのガイドラインも患者さんの個性に合わせた内容に変更しています。

その結果、平成25年12月時点での私の臨床実績のうち、慢性腎臓病(病期3b~4)の患者さんの透析療法導入は皆無、慢性腎臓病(病期5)の患者さんの透析療法導入率は7.6%未満にしかありません。

そこで、これらをまとめ、サナカスペシャルと命名、患者さんに多様な選択肢を提供することにしました。

腎臓庇護は腎障害悪化因子からの腎臓庇護を目的として、レベル1から5まであります。患者さん病態に合わせた食事療法、生活指導が必要で、更に薬剤の場合は用法、用量、組み合わせ、注意点が異なります。ここが腎臓庇護のための最も重要なキーポイントとも言えますので、その内容についてはご遠慮無くご相談、お申しつけ下さい。

 

3) 推奨される日常生活

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2 その後の通院(初診から2~3ヶ月以降)

《検査・治療・サナカスペシャル・推奨される日常生活

  CKDの悪化速度、悪化要因、合併症を早期に発見するために、採血、蓄尿検査、一般尿検査などの定期検査は欠かせません。

 

表4 病期別検査頻度

病期

採血、蓄尿検査、一般尿検査などの定期検査の頻度

年1~2回

年3回

3a

年3~4回

3b

年6回(2ヶ月に1回)以上

1.5ヶ月~月1回以上

2週に1回~月1回

 

 

上記の表4の検査以外にもCKD検査としてのイヌリンクリアランスや様々な合併症診断のための検査は適宜、必要です。

治療は常に初心に帰ることが大切で、表2、表3を参考にしてください。

ここでもサナカスペシャルが活躍するはずです。

 『佐中 孜 著;CKD早期発見治療ベストガイド(医学書院2013)<『裏表紙』にて紹介>』を参照してください。

 

 

3 透析療法(腎代替療法)が必要だと言われたら

 

慢性腎臓病が病期5となり、透析療法(腎代替療法)が必要だと言われたら腹膜透析、血液透析、腎移植のいずれかを選ぶことになります。ここではこれらの特徴を簡略化してまとめてみましたので、参考にして下さい。

腹膜透析

血液透析

腎移植

手術

腹膜カテーテル挿入術 内シャント形成術 腎移植術(腎提供者は腎摘出術)

入院日数

カテーテル挿入だけなら日帰り手術可能 日帰り手術可能 1~4週間

透析場所

自宅・職場・学校 病院、診療所の透析室 透析は無用

通院回数

月に1~2日 週2~3日 月に1~2日

尿量

透析療法開始後も十分量維持されることが多い 透析療法開始とともに著しく減少することが多い 必要量が確保される

痛み

カテーテル挿入時は違和感があるが、その後消失 毎回の透析針、穿刺時痛 術後のみ

食事制限

リン、食塩の過剰摂取制限は続くことが多い カリウム、リン、食塩の過剰摂取制限は不可欠 CKD病期に応じた食事療法は必要

旅行

透析療法実施場所は選ばないので、自由が高い 透析療法実施場所の確保 自由

服薬

必要 必要 必要、免疫抑制薬が不可欠

自覚症状

違和感は残るが、尿毒症症状の軽減、消失、 違和感、疲労感は残るが、尿毒症症状は軽減、消失 尿毒症症状は軽減、消失す