コディネ 2012年春季号 PDF版
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コディネ 2012年春季号
はじめに
がん
この言葉を聞いただけ皆さんはゾッとするのではないですか?
そりゃそうです。がんによる死亡は一貫して増えているのです。誰もが、がんにかかる危険があるのです。日本人の約3人に1人はがんで亡くなっているのです。
死亡原因
厚生労働省によると、平成20年に亡くなった人の死因の第1位は「がん」で、約34万人におよびます。つまり、日本人の約3人に1人はがんで亡くなっているのです。がんによる死亡者は、40歳代から年齢が上がることに増え、男性は60歳代、女性は50歳代でピークを迎えます。なお、死因に占めるがんの割合は、1945年以降、年々増加の一途をたどっています。「平成20年人ロ動態統計」(厚生労働省)
ところが、下記の表のようにアメリカでは1999年を頂点として逆に減ってきており、2010年には完全に逆転しています。
がんは生活習慣病
さあ、大変です。なにが日本人とアメリカ人で違うのでしょうか?生活習慣、特に食生活習慣に違いがあることがわかってきました。がんにかかるのは、親からの遺伝だと思っていませんか?がんにかかる原因は、普段の生活にあるのです。「がんにかかるのは防ぎようがない」「がんになったら、あきらめるしかない」などと思ってはいませんか?実は、ができる原因の多くは、普段の生活習慣にあります。肉ばかり食べて野菜を食べなかったり、たばこを吸ったり、お酒を飲みすぎたりなどが、がん細胞をつくり、増やしてしまうことにつながるのです。
がんにかかる原因のほとんどは親からの遺伝ではなく、わたしたちの日ころの生活態度にあります。ですから、禁煙や節酒、ストレスの緩和やバランスのよい食事を心がけることで、がんにかかりにくいからだから、キチンとした食生活習慣を身につけることが必要です。
生活習慣病にキチンと向き合い、予防、治療しないといけません。そして、がん細胞が見つかる大きさになる前にその可能性を見つけて、本当のがんになるのを防ぐことが大切です。がんは画像診断の技術が進んでも見えるようになった時には相当進んでいることさえあります。
がん細胞も生まれたばかりは排除されるが、次第に増長し、モンスター化する
がん細胞は5~20年かけて目に見える大きさに成長します。そのリスクを知って、対応すれば、完璧ではないかもしれませんが、がんを未然に防ぐことができるのです。
がん細胞の始まりは、生活習慣や環境などによって傷つけられた元来は正常だった細胞の遺伝子です。少し異常な遺伝子をもった生まれたばかりの細胞は、これまでとは違った細胞であるため、私達が自然に備えている免疫という機能の働きによって、本来は跡形もなく排除されてしまうのですが、中には生き残るものもあります。また、そんな異常な細胞の成長を止めるブレーキのような働きを発揮する遺伝子もあるのですが、それさえも、壊れると異常細胞の増殖には歯止めがきかず、がん細胞としてモンスターのように勝手に生き活動し始めるのです。
これまでのがんの診断と治療
これまでは目に見える大きさに成長したがん細胞を視認する形で行われてきました。当然、がんの治療は主に手術、放射線照射、抗がん剤の投与に頼ることになります。それでも十分に対応できます。しかし、がん治療後も再発の不安を感じる人は多くいますし、実際に多くは再発し、冒頭でお話しした2人1人はがんで死亡するというのが現状なのです。
では、がん細胞が目に見える大きさになる前に、そのリスクを知る方法はないのでしょうか?最近の遺伝子医学の進歩はめざましく、「遺伝子検査」という方法が可能になりました。がん細胞として、まだこく小さな段階であっても、血液を調べることでがんに発展するリスクがどの程度のものなのかを分析することがでるのです。まさに最近の技術革新、医学の進歩そのもです。少しまえなら、望んでもできなかたことです。
今や、この「遺伝子検査」で、”超早期にご自分の”今”のがんリスクを把握して、生活習慣の改善など、がんにならないためのアクションを起こすことができるのです。
超早期のがん検査
がん遺伝子検査「CanTectR」は、親からの”先天的な”遺伝情報を調べるものではありません。現在のあなたのからだの中で進行しているかもしれないがん細胞の痕跡を、血液中のがん細胞にかかわる遺伝子の”後天的な”変化を調べることによって、見えないがんのリスクとして評価するものであって、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)と呼ばれる連鎖解析や関連解析によって疾患関連遺伝子の特定する方法とは違います。
標準検査コース
後記の表に列挙したがん細胞を増やすアクセルのような働きをする遺伝子の活性度やがん細胞の増殖を止めるブレーキのような働きをする遺伝子の壊れ具合を調べます。
①アクセルのような働きをする遺伝子
(発現レベルの上昇でリスクを増加させる遺伝子群)
②ブレーキのような働きをする遺伝子
(発現レベルの上昇でリスクを減少させる遺伝子群)
③検出頻度が非常に低い遺伝子群
プレミア検査コース
遺伝子のDNAの一部にメチル基という炭素1つと水素3つが結合するのがDNAメチル化という現象です。遺伝子を使用したり、使用しなかったりと制御するために大切な機能です。遺伝子を使うか使わないかを制御しているプロモーターと呼ばれる部分がメチル化されると、その遺伝子は使うことができなくなるのです。すなわち、メチル化異常によりがん抑制遺伝子が不活化されることがあります。正常細胞のがん化の始まりです。
現在まで、様々ながんで、多くのがん抑制遺伝子がDNAメチル化異常により使えない状態になっていることが報告されています。このような遺伝子を見つけることで、がんの発症リスクがわかります。
胃がんなどの一部のがんでは、がん抑制遺伝子がDNAメチル化異常によって不活化される場合の方が、突然変異や染色体欠失によって不活化される場合よりも多いと言われています。
そのような遺伝子のうち下記の14種類について調べることができます。この場合は、上述のアクセル遺伝子、ブレーキ遺伝子に加えて、次に述べる遊離DNAも併せて調べることになりますので、私達は総合的検査としてプレミア検査コースと呼んでいます。
最大7個のがん関連遺伝子のコドンおよびエクソンにおける変異(Mutation)を解析
P53,K-Ras,H-Ras,N-Ras,BRAF,APC,EGFRも行います。
お手軽検査コース
血液中の遊離DNA濃度を測る方法があります。
遊離DNA( FreeDNA)とは、破壊された細胞から血液中に放出されたDNAをいいます。血液中には、白血球や赤血球、血小板などの血液細胞の他に、様々な臓器や組織の死んだ細胞を由来とする核酸(DNA)やタンパク質など種々の生体物質が混在しています。がん組織や炎症組織においては、細胞死が盛んに起こっているため、がん患者や炎症性疾患患者ではその死んだ細胞由来のDNAが積極的に血液中に流れ込み、健常者と比べてその量が増加する傾向にあります。
がんは多くの場合、慢性的炎症を伴いまので、現在一般的検査に使用されている様々な腫瘍マーカーに加え、FreeDNA濃度を測定すると、担がん状態、がんの悪性度やリスクに関する評価に有用となる可能性があります。
遊離DNA濃度が持続的に高い場合、生体の何らかの異常を反映していると考えられ、更に精密な検診を受けると同時に、適切な生活習慣を実行することが必要と考えます。
アクセルのような働きをする遺伝子
(発現レベルの上昇でリスクを増加させる遺伝子群)
遺伝子名|主な機能|関連するがん
1|CA125|細胞膜タンパク質|卵巣がん
2|L-myc|転写因子|肺がん
3|MAGE A4|細胞表層膜タンパク質|肺がん、肝臓がん、乳がん
4|c-kit|増殖因子受容体|胃がん、大腸がん
5|c-met|増殖因子受容体|胃がん
6|MDR1|薬剤耐性|多くのがん
7|COX-2|PGE2合成酵素|肺がん、大腸がん
8|Cytokeratin-19|細胞骨タンパク質|肺がん、乳がん
9|Cytokeratin-20 細胞骨タンパク質 大腸がん、膵臓がん
10|E2F1|転写因子|大腸がん、肺がん他
11|E2F3|転写因子 肺がん、膀胱がん
12|MMP-9|プロテアーゼ
13|Muc-1|粘液糖タンパク質|食道がん、大腸がん、膵臓がん他
14|Muc-4|粘液糖タンパク質|膵臓がん
15|hCGβ|胎児性タンパク質|肺がん、腎臓がん、膀胱がん他
16|VEGF-C|リンパ管新生因子
17|HnRNP A2/B1|核内リポタンパク質|肺がん、乳がん
ブレーキのような働きをする遺伝子
(発現レベルの上昇でリスクを減少させる遺伝子群)
遺伝子名|主な機能|関連するがん
1|hTERT|テロメラーゼ|あらゆるがん
2|bcl-2|アポトーシス抑制|白血病
3|MAGE A12|細胞表層膜タンパク質|食道がん、乳がん
4|mdm2|タンパク質分解|神経芽細胞腫
5|MMP-2|プロテアーゼ|浸潤
6|NSE|神経特異的解糖酵素|多くのがん
7|RCAS1|腫瘍抗原| 膵臓がん、卵巣がん、子宮がん他
8|CD44|細胞接着
9|c-myc|細胞周期調節|多くのがん
10|Cyclin D1|細胞周期調節|乳がん、白血病
11|Cytokeratin-7|細胞骨格タンパク質|肺がん、胃がん、卵巣がん他
12|FGFR2|増殖因子受容体|胃がん
13|Gli1|転写因子|神経芽細胞腫、膵臓がん他
14|GPC3|プロテオグリカン|肝臓がん
15|Her2/Neu|増殖因子受容体|乳がん、卵巣がん他
16|HIF-1α|解糖活性化
17|Survivin|細胞周期調節|多くのがん
18|Thyroglobulin|甲状腺ホルモン前駆体|甲状腺がん
19|VEGF-A|血管新生因子|多くのがん
検出頻度が非常に低い遺伝子群
遺伝子名|主な機能|関連するがん
1|AFP|胎児性タンパク質|肝臓がん
2|MAGE A1|細胞表層膜タンパク質|肺がん、胃がん、肝臓がん他
3|MAGE A3/A6|細胞表層膜タンパク質|肺がん、胃がん、乳がん他
4|CEA|胎児性、細胞接着|大腸がん、肺がん
5|CGA|分泌タンパク|肺がん、乳がん
6|Muc-7|粘液糖タンパク質|膀胱がん
7|ProGRP|細胞分裂促進因子|膵臓がん他
8|PSA|セリンプロテアーゼ|前立腺がん
9|SCC||肺がん、食道がん
10|EGFR|増殖因子受容体|多くの悪性腫瘍
11|WT1|転写因子|白血病、肺がん
これらの検査を受け、その結果を指標として、予防や治療に努めることにより改善することができますので、今回紹介する検査を定期的に受けることで、自分のがんリスクの変化を知り、更に生活習慣病として、総合的に診療を受けることで、がん予防にも役立てることができます。
検査の流れ
①医師による説明・検査希望者の同意書の記入
医師の説明を受け、検査内容を確認し、同意書を記入する。
②採血
血液をわずか5~20~25ml検査の範囲で異なります。
③検査
検査委託会社(GeneSience社)が約2~4週間かけて血液中のがん関連遺伝子の検査を行います。
④レポート
検査委託会社(GeneSience社)が検査結果に基づき、発がんリスクや予防管理についてのレポートを作成する。
⑤結果説明
検査委託会社(GeneSience社)からのレポートをもとに、診断結果についてドクターから説明を受ける。
>がんを防ぐためにはどうすればよいか
がんにならいためには、日ころから心がけるべき生活習慣があります。
禁煙/避煙・嫌煙
たばこを吸う人は今からきっぱり禁煙してください。禁煙外来に行き、相談しましょう。他の人にたばこの煙が行かないようにしてください。日本人のがんの約20~27%(男性では30~40%、女性では3~5%)は、喫煙していなければ予防可能であった筈と言われています。
自分ではたばこを吸わなくても、家庭や職場で他人の煙を吸い込んでしまう受動喫煙では、肺に対して発がん性があります。他人のたばこの煙も避けましょう。
お酒は適度に
飲むなら,節度のある飲酒.
1日当たりアルコール量に換算して約23g程度まで(日本酒なら1合,ビールなら大瓶1本,焼酎や泡盛なら1合の2/3,ウイスキーやブランデーならダブル1杯,ワインならボトル1/3程度).
これは国内の複数の大規模臨床研究の結果にもとづいた目安量です。
飲酒は,大腸がんをはじめとしたがんのリスクを上げる一方で、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる効果があることが知られています。
従って、節度のある飲酒が大切です。
飲まない人,飲めない人は無理に飲まない.
運動
定期的に運動を続けましょう。
ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な身体活動に加えて,週に1回程度は活発な運動(60分程度の早歩きや30分程度のランニングなど)を加えましょう。
運動により大腸がんリスクは確実に抑えられ.閉経後の乳がん,子宮体がんのリスクもほぼ確実に抑えられると言われています。
日常生活を活動的に過ごしましょう。
身体活動量が高いと,がんのみならず心疾患による死亡のリスクも低くなり,死亡全体のリスクも低くなります。
適度な体重維持
太りすぎ・やせすぎは禁物。BMI(体重kg÷身長m÷身長m)で20~25の範囲内に収まるようにしましょう。
野菜・果物をたくさん食べよう
野菜や果物を、少なくとも1日400gはとるようにしましょう。野菜は1日3食、果物は1日1食が目安。
熱い飲食物は控えめに
熱い飲み物・食べ物は咽頭や食道などに悪影響を及ぼす場合があります。少し冷ましてからとるようにしましょう。
塩分は控えめに
食塩は1日当たり男性10g,女性8g未満にしましょう。
ラーメン1杯で約5gです。
塩辛,練りうになどの塩分の多い食品は、週1回以内に抑えましょう。
加工肉,赤肉(牛・豚・羊など)はとりすぎない。
肝炎ウイルス
地域の保健所や医療機関で,1度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。
肝炎ウイルス感染の有無を知り,感染している場合は治療を、未感染者は予防の措置を取りましょう。
サプリメント
抗酸化物質など、がんの原因となる活性酸素を無毒化する成分のサプリメント(補助食品)を摂取することで、がんの予防をねらいます。
高濃度ビタミン療法
一度に大量・高濃度のビタミンCを静脈に点滴注射します。口から摂取するのと比べものにならない高濃度のビタミンCを大量摂取することで、その抗酸化作用によりがんの原因とされる活性酸素を無毒化します。がん予防だけでなく、美容や生活習慣病の改善にも効果があるといわれています。
免疫療法
人間のからだに本来備わっている免疫力を高めることで、(まだ小さな段階の)がん細胞を死滅させる自然治癒力を発揮させるという方法です。健康食品や食事療法などで免疫力を高めていくという簡単なものから、最新の医療技術を用いる医学的な療法までさまざまなものがあります。
温熱療法・温泉療法
がん細胞は42.5℃を超えると急激に死滅するといわれています。その性質を利用し、がん細胞に温熱刺激を加えてその縮小や死滅をねらいます。がん予防という意味においては、自宅で熱めのお風呂につかることも効果があるといえます。
メディカルプラザ篠崎駅西口は生活習慣病を多方面から取り扱っています。
その一つががんの遺伝子診断です。診断後の医師への医療相談は生活習慣病としての診療コースにお入りいただけます。検査委託会社とメディカルプラザ篠崎駅西口は相互に患者情報守秘契約を結んでいますので、安心です。
禁煙外来もあります。